2010年12月29日水曜日

守らなければならないものを教えてもらったベン・ホーガン哲学

 人生長いこと世界の一流ブランドのマーケティングに関わってきたが、一番大切なものは企業理念でありものづくり哲学である。商売は時代と共に消費者の好みが変わり、その好みに製品やサービスを近づけることにより適応化されていくが、変えてもいいものと変えてはいけないものの棲み分けが行われていないといけない。これが行われていないブランドや途中から変わったブランドには成功例は極めて少ないという実感がある。
若くしてベン・ホーガンという稀代の名ゴルファーが設立し、そのものづくりに実際にタッチしたベン・ホーガン社はその当時、名ゴルファーの名前を冠して出されていたジャックにクラウス、ゲーリープレイヤー、アーノルド・パーマーなどのクラブとは全く一線を画するもので、完璧主義を貫いた名ゴルファーベン・ホーガンがプレイヤーの見地からクラブの性能を探求し、それに最新の工業技術を連携させたといういう意味で、賞賛に値するものであった。そのことはAMFという器械メーカーを親会社に持ったことと無関係ではなかっと思われる。
クラブシャフトは軽量スチルーシャフトを自社仕様でツルーテンパー社に作らせた「APEX」(頂上)、ヘッドは軟鉄鍛造、自社研磨とプレーティング(メッキ)、組み立て段階で取られた厳しい重量の公差値、ネックとシャフトの接合を接着剤のみに任せずピン打ちを励行した完璧主義等々、実際に工場を見たディーラー達はたちまち洗脳されてベン・ホーガンクラブの信奉者になってしまった。以来、10年、ベン・ホーガンクラブは輸入クラブNO.1(捉え方は色々あるが)の地位を保ち続けた。
この写真は1986年ごろ、テキサス州フォートワースのシェディーオークスC.C.でベン・ホーガン社の招待ゴルフとディナーの一こまである。